―御鱈河岸―

おんたらかし

過去作

三枝千佳月が死んだ

朝、目が覚めるとすぐ横から寝息が聞こえてきた。 片耳からは心音も聞こえている。 どちらもまだ眠ってらっしゃる、千佳月さんのものらしい。 マイナスイオンすら出ているのではないのかと思ってしまう心地良い音のリズムで、もう一眠りすることにしよう。 …

三枝千佳月が死んだ その4

ここから見える風景は結構好き。 小さい頃、××と一緒によく遊んでいた公園がここからだと直ぐ下に見える。 あの頃は楽しかったな いつもお転婆な私を××が 「千佳月~。危ないからよそうよ」 とか言ってたっけ。 あの頃の××は、とても可愛らしかったな。一度…

三枝千佳月が死んだ その3

真夏の熱射線が肌を痛めつける。 たしか数年前までは冷夏だったので、過ごし易い夏日だったけど今年の夏は気が滅入るぐらいに過ごしづらい。そんな真夏日のなか、今日も僕は千佳月の居る郊外の病院へ行くため自転車を必死に漕ぎ、このひどく長い坂道を頭の中…

続、三枝千佳月が死んだ

僕は今日もまた、千佳月の病室に居る。 もう学校では授業は終わっており、夏期講習とか言われる、高校生達の武者修行が連日校舎のあちらこちらで行われている。 勿論僕は、そんなものに興味と忍耐力を有しておらず。学校には行かず、近所の本屋で最近出た文…

三枝千佳月が死んだ

三枝千佳月が死んだ。 白血病で去年の暮れあたりから、郊外にある私立の病院に入院していた。 たまに僕が暇を潰しに行くと、決まっていつもベルリオーズの幻想交響曲が使い古されたCDプレイヤーから流れていた。 僕が入って来て、先ず彼女に言われる言葉は…

過去作

以前某所で上げていたの、こちらでも、上げさせて貰います。