U.T.
通学バックを部屋の入口付近に置き、入って直ぐ左横にあるベッドへ急降下爆撃を加える。 〝バフッ〟 母が太陽光の下で洗濯し干してくれ布団の匂いが鼻孔で踊る。 私は布団へ埋もれ、そのまま目を瞑る。 永遠とも思える一瞬へ落ちて逝く。このまま何もせず一…
最悪の日とは最悪な朝から始まるものだ。 今朝方シャワーを浴び、バスタオルで体を拭き髪を乾かし、久しぶりに体重計に乗ってみたら、2キロ増加していた。最低だ。 心身の安定の為、体重の変化には気に掛けていたのだが…。ついこちらのケーキが美味しくて、…
私があの動画を上げて以降、SNSのフォロワー数は確実に上昇し続けている。中には少女愛好家らしい者達も居たりし、胸糞悪さで、お気に入りのイルカの抱き枕に何度拳を突いた事だろう。そこで思ったのだが、世間では今のこの私、つまり少女の風体をしてい…
〝今〟の時代にやって来て、もうかれこれ三ヶ月が経った。 どうにか過去の自分と現在の自分との格差を幾つかの実体験を持って把握し始めているところだ。この様な状況下に陥っているが勿論、肯定的にだ。あと過去と現在での大変大きな違いと言えば〝私〟が居…
気が付くと俺はコンビニでビールをカゴに入れている所だった。 店内放送では、数年前流行ったお笑い芸人が何か喋っている。いつもの癖でスマホを見る。時間は10時30分だ。 頭の中で違和感の周りをもやもやとしモノが駈けずり廻っている。 アイスコーナー…
彼が見た最後の映像は血色の景色であり。その中では最愛の人が銃弾により今死に絶え様としており、その後続く最後の音声は施錠をしたドアを部下達がけたたましく叩き絶叫している和音であった。 「何故分からない!」 それだけ言うと彼も彼女の後を追うよう…
怠惰であった。 大手町六郎は怠惰であった。夏休みの宿題は最終日にやり始めるタイプであったし、大学の卒論は最終提出期限が過ぎ、やっと重い腰を上げゼミの指導者の所へ赴き、直談判し、なんとかでっち上げる。そんな男であった。 「うっく。平日の昼まっ…