―御鱈河岸―

おんたらかし

続、三枝千佳月が死んだ

僕は今日もまた、千佳月の病室に居る。 もう学校では授業は終わっており、夏期講習とか言われる、高校生達の武者修行が連日校舎のあちらこちらで行われている。 勿論僕は、そんなものに興味と忍耐力を有しておらず。学校には行かず、近所の本屋で最近出た文…

三枝千佳月が死んだ

三枝千佳月が死んだ。 白血病で去年の暮れあたりから、郊外にある私立の病院に入院していた。 たまに僕が暇を潰しに行くと、決まっていつもベルリオーズの幻想交響曲が使い古されたCDプレイヤーから流れていた。 僕が入って来て、先ず彼女に言われる言葉は…

過去作

以前某所で上げていたの、こちらでも、上げさせて貰います。

左向けばひだまり

毎年この時期になると街はにわかに活気づく。秋口までのまとまった仕事がおちこちにある掲示板に貼りだされるためで、皆が情報収集に余念がなくなるからだ。 仕事ははっきり言って無限大にある。有り体に農作業などの体力仕事、遠方の住み込みだったり、学生…

猫闇草

都会には猫が少ない、そんな事を思った事はないだろうか? 地方から引っ越して来た者からしたら、そんな気がしてならない。 勿論、地方に比べ、都会は持ち家率が少なくマンションが多いので、家猫に比べて部屋猫が多いという事もある。 しかし、本当にそれだ…

びゅーふぁいたー

私は私。人は人。うん、知ってる。 2月からずっと午前様。アラームが悔しくて、タイマーをセット。ベッドにぼかんと倒れ込む。なのに!夢の中の私はへたっぴで、遅刻やら反抗的な態度やら行き過ぎた抗議で平気で上司を殺してしまう。現実の私はただただ寝不…

昨日の人

二日酔い特有の気持ち悪さで目をさます。 ベランダからは、毎朝の悪客である鳩のやかましい鳴き声と、あの忌々しい羽音がし、その負の混合物で部屋が蹂躙されている様な気さえしてくる。 いつもであればこの悪客に対し、何らかの対抗措置を取るのであるが、…