―御鱈河岸―

おんたらかし

素足な少女

酷い雨の日に『素足で町にでようよ。』と言ってくれる人が好きなのではなくて、その言葉が新鮮だからではなくて、雨の日に素足で町に出たかったわけでも勿論無かったけれど、誘われたら付いて行ってしまいたくなるのが私なんだ。

本当にそれだけだったなら、風邪ひきくらいですんでたはずなのに!

車に轢かれるよりは良かったよと言ってくれた友達に私は平手をプレゼントしてしまった。

お返しに私はまた水浸しになるわけだけど、この水浸しには意味があるのかな?と思うと涙が止まらなくなった。

ワッと泣くってこうゆう泣き方なのかもしれない。

もう止まらないんだよ、涙も声も思いだって何だって。

あぁ私は部屋の中で水浸しになって泣いている女の子に見られてるんだろうな、友達が怒られるのも災難だなぁとは思うけれど、違うよ。

私がワッと泣く時にタオルを用意してくれるお母さんも謝ってくれる友達も窓の向こうの雨雲だって誰も悪くない、悪いのは私なんだよ皆々様。

だけども今は泣こう、泣いている私の為に涙を流そう。

『人が泣く事に理由は無いよ。泣いてから理由を探すから人は泣けるんだ。』 嘘吐き。

理由あるじゃないか。

泣いてから探す余裕なんてないじゃないか。

私は泣いている私の事を思うと、涙が止まらなくなるよ。

辛いのも淋しいのも悲しいのもわけがわからないのにも答えてあげられない私を見てると、涙が止まらなくなるよ。

こんな時に素足で雨に出たのなら、風邪も車も何でも無いね。

あぁ、恋って引くものだったのか。 油断した。 涙がちょちょぎれるぜ。