―御鱈河岸―

おんたらかし

イサナの卵

これを水と言うのか。

疑いもせずに、君はこれを水が成すと言う。

僕にはわからない、どうにも分かれそうに無い。

水ではないだろう?水では無いと言っておくれ、僕の為に。

あぁ、水だと思える人に見える君。

何か途轍も無い陰に向いたように思えるよ。

光差さぬ日、頭を垂れようとするこの僕に降るから。

この震えは冷たさからじゃあない、髪も乾いたままじゃないか。

肢端から発するはなにも感傷めいた事ばかりではないよ。

もう見えてはいないんだ、頸部は働く事を放棄してしまった。

僕はもう肢骨からの指示を受けるままの機械にでもなってしまったようだ。

巧く出来ているね、よく動く。

このたった今感じているこの震えを心配してくれている君、 これは歓喜の声さ、悲しい事ばかりじゃないとわかったんだ。

聞いておくれ、耳はあるだろう?

行進している人の表情から読み取る事を、同じ印象を感じて欲しい。

僕はとても悲しいばかりじゃないと言える。

天気図を見たい。 この空の様子を書ききれる人はいるだろうか、表す印は出来たのだろうか。

僕を打つよ、水ではない。

水ではない。

この震えは冷たさからじゃあない、髪も乾いたままじゃないか。

雨は役目を終えてしまった。

僕を打つのは、水ではないんだ。