―御鱈河岸―

おんたらかし

紐だけ長い少女

此処から何処にも繋がっているなんて信じた私が馬鹿だった

此処から何処かに繋がっているのは、此処がちゃんとしてないからで

此処が私で、私がちゃんとしてたなら

私は此処で、此処がちゃんとしてるはず

それなら私は何処にも繋がっているわけもなくて

誰かが私に繋がろうとしているだけなんじゃないのかな。

そんな私が信じた人は、結局誰かと繋がっていて

私に言わずに何処かに行った。

平成14年6月20日 17歳 高橋メイ

 

あの時私は女子高生で、馬鹿でまぬけだった。それだけははっきりしてる。

メイって名前は勝手についてた名前だけど、案外しっくりきてる。 だって目だけは良いし。って駄洒落なんて言ってる場合じゃない。 本当は五月産まれで・・・・って長々説明してる場合でもない。 私は今非常にまずい状況に居る気がする、とゆうかほんの数時間前まではっきりどうしようもない状況に居た。

例えるなら、実の母親がロリータで義理の父親が○本野ばらみたいな格好をして 『メイちゃん、新しいお父さんよ。』だなんて、玄関口で言われるぐらいどうしようもない状況で その義理の父に『ぼんじゅーるむしゅー・・あっ違った、メイちゃんこんにちは。ごめん今さっきフランスから帰ってきたばかりで、自然に出ちゃうんだフランス語が。』って挨拶されるぐらいの衝撃。

これが本当に例えなら良かったんだけど、例えようもないあの状況をこんなにすらすら言えるのは やっぱり私があそこに居たからなんだろうなぁ。 それとあの義理の父親間違ってる、服も顔も何故か靴だけアディダスのスタンスミスなのかわからないところもだけど、私は女子高生で勿論未婚。 そう、だから私は『むしゅー』じゃなくて『まどもあぜる』なんだ。 どうせあの胡散臭いスタンスミスは寂びれた高原にあるフランス村かなんかに、強化合宿か何かに行っただけなのだろう。

私も馬鹿だけど、母は母なりに精いっぱい馬鹿だから、フランスって言葉だけできゅんきゅんしちゃって スタンスミスだろうが、マギースミスだろうが、スミス通りですら良いに違いない。 そんなどうしようもなく不幸な家庭環境に招かれようとした私は、寝巻きに母の無駄に紐が長いバレエシューズを突っかけて台風がきてるらしい街に・・・町に飛び出した。

傘も持たずに雨の中を走る私は、スタンスミスよりどう考えてもフランス人だ。とゆうより、フランス映画に出てくるフランス人だ。 『ぼんじゅーるまどもあぜる、紐だけ長い靴と暖かい珈琲それとバスタオルとシャワー、オムライスとデザートを交換していただけませんか?』なんて紳士が話し掛けてくれても良い頃だと思うんだけど、中々そうはいかない。 これは映画じゃなくて現実で、私は家を飛び出した不幸で馬鹿な女子高生なんだ。それだけ。

不幸で馬鹿な女子高生は寝巻きとバレエシューズで旅に出た、案外キャッチ-でサッチーでブッチャーで笑えてくる。 平成13年7月20日16歳の高橋メイはそういったわけで、ずぶぬれで一人になった。