―御鱈河岸―

おんたらかし

もぐら少女

思った事を口にする不自由と 思った事を心に秘める自由の狭間で 綿毛の様に揺れる私は、根っこが無い変わりに花も無い。

私が空を飛ぶ時は 機械の背中でじっと座って待つ方法と 落ちるしかない数秒の空中散歩の二種類しかない どっちも飛んでいるようで、飛ばされているだけだと きっと誰も気付いていない。

飛びたいと思う気持ちと飛ばされてる現状は テロが起きても、カラマーゾフが売れても、私が私を捨てたとしても 何があってもリンクする事はないと思う。

私が空を飛んだと思う時は、きっと誰もが 『ねぇ、あの人空飛んでるよ。』って指さすくらいに鮮明で 笑った顔が少し寂しい夏の終わりがちょうどいい。

私は飛ぶよ? テロが起きなくても、カラマーゾフが売れなくても、私が私のままでいても それでも、私は空を飛ぶ。

私がそれを望んでいるのだから 私は飛べると思う。

初めての希望が叶わない世界だとしたら 私がもし空を飛べないのだと決まってしまったら 私はもぐらになって、目が見えなくなっても良いと本気でそう思う。

空から土の中ではなくて 私が居る場所がなくなったから、だから土の中にいこうと思う 目が見えなくても、空が飛べなくても 土の中で私は私を認めてあげて、愛してあげようと思う。

もぐらになった私を、私だけが私を探せる世界の中で 一生をかけて慰めてあげたいと思う。

私は私と一緒に、空を飛ぶ事を忘れられないだろうから。

思ったことを口にする自由と 思ったことを心に秘める不自由の狭間で 鉄の様に固まる私は、錆びない変わりに以外にもろい 空を見つめる私の目は自由だろうか不自由だろうか。